以降ネタバレも含みますのでご注意下さい。
あらすじ
Heat 4 三笠宮杯
三笠宮杯の競技会中、行方不明となってしまった兵藤の代わりに雫と踊れと仙石から命じられた多々良は、替え玉出場は駄目だと薄々わかってはいたものの踊ってみたいという気持ちもあり、兵藤の燕尾服を着て、ダンスフロアに立ってしまう。
当然、雫も困惑していたが、音楽が鳴り始めるとダンサーの本能か多々良と踊ることを選択する。仙石を始め小笠原ダンススタジオの教師誰もが、初心者の多々良は踊れるわけはないと思っていたが、普段から雫と踊ることを想像しながら一人シャドー練習をしていた成果で、つたないながらワルツを踊っていく2人。しかもこんな状況でも笑顔の多々良。最後の最後に転倒してしまうが、なんとか踊りきるのであった。
無事に兵藤の代わりを務められたとほっとしていた多々良であったが、帰ってきた兵藤の怒りをかってしまう。自分のいない間に燕尾服を勝手に使われ、しかも自分のパートナーと好き放題踊っているところを見せつけられたからだ。
仙石が、多々良に替え玉を命じたのは、兵藤のカバンから見つけたテーピングで重大な怪我をしていることに気付いたからだったのだが、心に火が付いた兵藤は、次の種目タンゴを踊り始めるのであった。
Heat5 ダンサーズ・ハイ
いつもは、いかにもお手本のような固いダンスと観客から評価されていた兵藤組であったが、仙石からも「とうとう正体をあらわしやがった」と言わしめるほどの情熱のタンゴを踊る。観客からもスタンディングオベーションを受けたのだが、”替え玉出場による失格”との放送コメントと共に兵藤は怪我の影響でそのまま倒れてしまう。
兵藤組は、出場停止6ヶ月の処分を言い渡され、それを自分のせいだと思い込んでしまっていた多々良。ある日、家に帰ると兵藤がこたつに入って多々良の家族とテレビを見ながらくつろいでいた。
自分の部屋に連れていき、早速謝罪する多々良。しかし、兵藤は、それは仙石が仕向けたことだから気にしていないこととダンサーズ・ハイになれて自分も楽しかったことを告げる。
「お前も早く 舞台に上がれ」
この兵藤の言葉によって、多々良は自分の力でまたあの三笠宮杯のフロアを目指すことを決意する。
駅での別れ際「雫を頼む」と言い渡された多々良であったが、それがどういう意味かは分からずにいた。
Heat6 パートナー
多々良が通う小笠原ダンススタジオに突然、赤城賀寿・赤城真子の兄妹ペアが来訪する。兵藤の怪我と出場停止処分を聞きつけた賀寿は、雫に自分と組むことを前提にいっしょに踊ることを懇願しにきたのであった。当然断ると思われていてた雫だが、いっしょに踊ることを受け入れるのであった。
怪我のことを隠していた兵藤、それを知りながらも伝えてくれなかった仙石に不信感を抱いていたからだ。
一方、残された真子はカップル練習で転倒した時に自分をかばい助けてくれた多々良と組みたいと申し出る。賀寿に「真子が雫より上手く踊れるもんならまた組んでやってもいい」言われ悲しむ真子。それを見た多々良は、真子といっしょにダンスで見返そうと決意するのであった。
Heat7 たたらの舞台
雫と正式に組んで公式戦にデビューしようとしていた賀寿だったが、その前に非公式の競技会”天平杯”で勝負してほしいことを多々良が申し出る。多々良と真子のペアが勝てば、雫との組を解消して、賀寿と真子のペアに戻るという条件だったが、実力差がありすぎる多々良に負けるわけないとふんだ賀寿は、それを了承する。
早速始まる、仙石による個人レッスン。天平杯での肝は、おそらくソロ競技の種目となるであろうクイックステップと読んだ仙石は、多々良ペアをダンス練習場に連れ出す。多数の練習ペアがいる中でのダンスは衝突が多くて踊ることができず困惑してしまったが、練習後に真子から謝罪と励ましの電話が入る
「多々良さんが私を見てくれてるのと同じくらい私も多々良さんを見てますから・・・・自分が気持よく踊れる場所を見つけて舞台に立ち続けてください」
この言葉に奮起した多々良は、次の日の練習で”フロアを読む力”と”自信と存在感”を手に入れるのだった。
感想とキャラ紹介
”ボールルームへようこそ”という漫画は、モチベーションを上げてくれる台詞が度々登場します。
特にこの2巻の「お前も早く、舞台に上がれ」という台詞は、構図も最高にカッコよいのも手伝って最高の一コマだと思います。
リアルタイムで読んでいるときは、ダンスの踊り合わせを何度行っても断られる日々を繰り返していた自分にとっては、いつも励みになっておりました。トップクラスのダンサーである兵藤から言われたなら、多々良はそりゃやる気出るってものでしょう。
もう一つ真子からの台詞「私も・・・見てますから」多々良じゃなくても人から見てくれているとわかるのは嬉しいもので、それが自信につながるというのは腑に落ちます。”自分で自分を褒める”とか、”自分は自分で支える”という言葉もありますが、それだけで心を維持するのは難しい。人は他者あってこそ生きられるというのを実感します。
【2巻での富士田 多々良】
1巻からも目がよく、観察眼の鋭さというのを発揮していたのですが、2巻ではそういう次元ではなく、組んだ感じで相手の考えがわかるような感受性の鋭さも発揮しだします。
自分には、組んだだけでわかるような経験はありませんが、競技会で組んだ女の子に「今日はいつもと違いますね。緊張してますか?」と言われたことがあります。
また、ドラマ相棒season12第4話「別れのダンス」は、社交ダンスをテーマにした回だったのですが、「このフロアに立って彼と組んだ時、彼はとても傷ついて苦しんで・・・それがわかった。だからそんな彼のために何かしてあげられることはないかと考えた・・・・」「何年あなたと踊ってきると思っているの?」という台詞があります。さすがの右京さんでも、そんなことまで考えが及ばなかった様子。ダンス続けてれば、そういう境地にも達するのかな?
【赤城 賀寿】
多々良の1歳年上で、ラテン三笠宮杯5位の実力者。10歳の頃から憧れていた雫に夢中で、自分の妹でありパートナーでもある真子に対し酷い扱いをするキャラのためこの巻の時点では、好感を得られませんでした。
実際の社交ダンスの世界でも子供世代人口が少なく、仕方なく兄妹,姉弟で組むことが多々有りますが、どのペアもいずれは、違う人と組みたいと思っているのかな?また、それを”いつ”にするかというのは、言い出す方も大変だろうなと考えてしまいます。
賀寿にとっては、その時だったのかな。強引に強い気持ちでないと解消、結成はできないと思います。
【赤城 真子】
初登場時には自信がなく意志も弱いような女の子だったので、あまり魅力を感じなかったのですが、話が進むにつれて魅力がどんどん増します。
この漫画に登場するダンサーは、俺が私がと個人で魅了しようとするキャラが多いのですが、真子は2人で踊りを魅せたいという気持ちが強いダンサーだと思います。ペアを組むならこういう人がいいんだろうなと感じます。
実際の社交ダンスの魅力を知りたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。
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